2021.10.25  【責任編集】ラーニング・ツリー世界基準のマネジメントスキルを身につけよう

あらゆるビジネスシーンで必要とされるマネジメントスキル。その知識・技術に自信を持っているビジネスパーソンも多いでしょう。しかし、そのマネジメントスキルは果たして「世界基準」か否か?また、あなたの理解しているマネジメントスキルは正しいのか、今一度振り返りましょう。

現在、そして将来にわたり多くの日本企業でグローバル化が求められています。自国と他国との繋がりを指標化・ランキング化した『DHL Global Connectedness Index 2020(国際連結性指数2020年版)』によれば、日本のランキングは44位です。決して喜ばしい順位ではありませんね。

日本企業のグローバル化を阻んでいる原因の1つとして「日本式マネジメント」が挙げられます。今回は日本式マネジメントと世界基準のマネジメントを比較しながら、後者の重要性についてご説明します。

更に、リーダーシップとマネジメントの違いや、チームのモチベーションの上げ方など基本的なスキルについて振り返る機会にしましょう。

日本式マネジメントの特徴

日本式マネジメントとして代表的なものが現在でも色濃く残る「年功序列制度」です。終身雇用が当たり前とされていた時代の名残であり、今でも年齢によるヒエラルキーを崩さないままでいる企業は多く存在します。この他、日本式マネジメントでは次のような要素が重視されることが多々あります。

  • 礼節をわきまえられているか
  • 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を怠っていないか
  • 業務プロセスにおける共同作業を円滑に進めているか
  • 常に決められた時間通りに行動できているか
  • プライベート時間も仕事に割いているか

上記の一例を見て違和感を覚えない方は日本式マネジメントにどっぷり浸かっていると言えます。

こうした日本式マネジメントの問題点は「仕事を通じた成果や貢献度を全く評価していない」という点です。ビジネス上で礼節を持つことや協調性も大切です。しかしそれ以上ビジネスで「結果を残しているか否か」が極めて重要であることを多くの日本企業が気づく時ではないでしょうか。

それは「単なる成果主義への移行」という話ではなく、個々のビジネスパーソンが結果をコミットできるよう組織全体が必要な環境づくりを怠らないことへと繋がります。

世界基準のマネジメントとは?

では、世界基準のマネジメントとはどういうものなのか?

多くの海外諸国では前提として「年功序列」といった、年齢や身分によるヒエラルキーが存在しません。良くも悪くも「実績主義」というのが世界基準のマネジメントです。また、文化の違いも色濃く反映されています。

例えば、日本企業では取引先へ数人で向かう際に「上司の車を部下が運転する」という光景を見かけることがあります。これが米国で行われた場合パワハラにあたる可能性が高いですから、文化の違いというのは不思議なものです。

海外企業における上司という存在は部下に対して偉そうにしたり、厳しく接したりするための存在ではありません。世界基準のマネジメントでは「部下がビジネスパフォーマンスを最大限高められる環境づくりを徹底する」のが上司に役割です。

もちろんチーム内でのノルマはあります。しかしそれを達成するのはあくまで部下であり、そのためには環境づくりや心理的安全性を確保するというのが上司の役割だと認識されています。

国や地域、現地での宗教などによってマネジメントスタイルに違いはあれど、その中でも日本式マネジメントは特異な存在として扱われることが多いのです。

日本のマネジメントと世界のマネジメントの違い

日本式マネジメントと世界基準のマネジメントにおける違いを、もう少し掘り下げていきましょう。

例えば日本企業では当たり前のホウレンソウは、部下の上司への「報告・連絡・相談を徹底すること」を意味する言葉です。この言葉からも「業務を取りまとめるのは上司の役目」という日本式マネジメントの姿が伺えます。

>>日本式マネジメント

一方、世界基準のマネジメントではホウレンソウの考え方はありません。マネジメントを実施するにあたり、業務進捗などを伺うことはあっても「その都度、報告・連絡・相談するように」といったルールは無いのです。

なぜなら「業務担当者とはその業務のプロフェッショナルであり上司よりも業務プロセスを熟知する存在」と考え、上司の役目はあくまで環境づくりやビジネスパフォーマンスを最大化するためのマネジメントに徹しているからです。

>>海外基準マネジメント

こうしたマネジメントの違いは従業員の「仕事に対するやりがいや従業員満足度」に直結します。言うまでもなく海外基準のマネジメントの方が従業員満足度などは高く、ひいてはビジネスパフォーマンスにも影響しています。

日本式マネジメントは通用しないのか?

ここまでの解説で日本式マネジメントに対してマイナス印象を持たれた方も多いと思います。しかし、日本式マネジメントが必ずしもダメというわけではありません。

組織全体の「和」を重んじる日本企業にとって日本式マネジメントは有効性を発揮する場面があります。また、グローバル化の中でも「組織が一丸となれる」という日本式マネジメントのメリットは取り入れるべきです。

これからのマネジメントに大切なのは「日本式マネジメントのままではいけない」という排他的な考え方ではなく、「世界基準のマネジメントを知り、それをベースに日本式マネジメントの良き部分を取り入れる」という融合的な考え方です。

また、「世界基準」を知ろうとすることで海外の先進企業が何を重視しているかを把握でき、早期的な課題発見と改善へ取り組める可能性があります。そうした意味でも世界基準のマネジメントは、日本企業が今最も取り入れるべき要素だと言えます。

マネジメントに必要なものは?

日本式であれ、世界基準であれ、基本的なマネジメントの知識、理解を正しいものとしていれば、今後よりマネジメント能力は上げられます。

下記のような項目を再度振り返ることなど考えてみてはいかがでしょうか?

  • リーダーシップとマネジメントの本質的な違いを認識する(2つの異なる機能と責任を一人の人間としていかに実践するか)
  • 顧客視点とステークホルダーとの信頼関係を構築する(これがマネジャー・リーダーとしての大事なスタンスの構築に直結する)
  • マネジャーの具体的な行動モデルを認識し実践する(担当者・スペシャリストの時と何が違うのか、個々の役割をどう関連付けしさらに自分の行動規範とするか)
  • チームメンバーのモチベーションを高める(動機付けの基本的実践手法とは何か、なぜそうするのか)
  • EQ力を理解し、開発する(マネジャー・リーダーには不可欠なスキルと言われるがなぜなのか、どうすれば獲得できるのか)
  • 人を育てる権限委譲方法を習得する(自分がマネジャー・リーダーとして力量を発揮し、同時に部下をプロとして育成する)
  • チームとチームワークを構築する(上記の全てを活用してチーム構築が可能となる)

まとめ

今日のビジネスでは、環境や業務プロセス、組織文化や部下ごとの特質などの違いに左右されない普遍的かつ中核となるようなマネジメントスキルが存在します。その体系的な知識・技術を学び、組織内で継続的に実践すれば誰もが「優秀なマネジャー」として成長できるチャンスがあるのです。

世界中でグローバル化が進む中、日本企業にとっての「普通」は徐々に通用しなくなります。グローバル化していない企業ですら世界基準のマネジメントが必要とされる時代が到来することでしょう。この機会に、是非とも世界基準のマネジメントに興味を持ち、体系的な知識・技術に触れてみてください。

組織と人材個々の世界観が広がり、日常のマネジメントに新しい価値を見出せるようになるはずです。

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