2025.12.16
【責任編集】ラーニング・ツリー

PMBOK®ガイド第8版が示すプロジェクトマネジメントの方向性──変遷の要点と、企業が今とるべき対応

■はじめに

2025年11月、PMBOK®ガイド第8版(英語版)が公開されました。PMBOKは時代変化に合わせて、「PMが果たすべき役割」を拡張し続けています。一方で、プロジェクトの現場からは次のような声も聞こえます。
•「第8版のポイントが整理できていない」
•「第7版は活用しきれなかった。第8版は理解すべきか様子見か」
•「PMP試験が第8版準拠へ移行する前に、何を優先すべきか」
本稿では、PMBOKの変遷をコンパクトに振り返りつつ、第8版の方向性を具体的に示し、企業が今とるべき現実的対応を提案します。


1. PMBOKの変遷:要点整理

•第1〜4版:標準化・体系化を推進。「何を管理するのか」を明確化。
•第5・6版:ステークホルダー・マネジメント等、実務適用の拡張。
•第7版(2021年):プロセス中心 → 原理・価値・成果志向へ。アジャイル/ハイブリッドを正式取り込み。
•第8版:第7版の思想を踏まえ、現場での適用イメージや使いやすさの整理が進み、価値実現・ビジネス成果への視点がより前面化。
一貫して、PMBOKは「計画遂行そのもの」よりも“プロジェクトを通じて何を実現するか”へ重心を移しています。


2.第8版の方向性:具体的な補強ポイント

  1. 第7版との連続性を保ちながら、以下の点がより明確・実務的に整理されています。
    1.価値・成果志向の明確化:成果定義と測定の枠組みを意識した記述が強化。
    2.複数アプローチの選択性:アジャイル/ハイブリッド等の状況適合に関する示唆が具体化。
    3.戦略整合の重視:組織戦略・ビジネス成果との関係性を示すガイドが明瞭化。
    これらは「新たな義務」ではなく、PMが考慮すべき視点の拡張と捉えるのが適切です。結果としてPMには、プロセス運用力に加え、成果や価値への接続を理解・説明する力がより強く求められます。

3.現場の課題:どこでつまずきやすいか

•PMBOK第8版の情報量の多さ
•第8版理解とPMP試験変更(2026年夏頃予定)の影響見極め
現時点(2025年12月)では、PMP試験は第7版ベースが継続しています。


4.企業が“今”とるべき3つの対応

① 第8版は「全体像を速く押さえる」
詳細精読の前に、第7版からの整理・強化点(価値志向/状況適合/戦略整合)を短時間で把握。共通言語を揃えることが、現場適用の第一歩。
② PMP取得は「第7版ベースの今」が計画しやすい
試験範囲が安定している今は、育成計画の立案・進捗管理が容易。
•PMP取得者を計画的に増やしたい企業
•育成成果を早期に可視化したい組織
にとって、現実的なタイミング。


5.当社の取り組み:なぜ今この講座が必要か

上述の「情報量の多さ」「目的の違い」「短期で成果可視化」という課題に応えるため、当社では以下を提供します。
•【e-learning】PMBOK第8版 速習コース(約2時間):第7版→第8版の整理点を短時間で把握し、共通言語を整備。(2026年3月頃リリース予定/税込11,000円/1人、企業導入は個別相談)
•PMP®試験対策講座(第7版準拠):試験変更前に計画的な合格を目指す方向けに、公開講座/1社研修で提供。

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おわりに

第8版の理解は“価値と成果にどうつなぐか”の共通言語づくり、PMP対策は“成果の見える化”です。両者を切り分けて設計することで、現場に効く育成を現実的に進められます。今期の育成計画に、ぜひ組み込んでください。

ラーニング・ツリーは、世界最大のプロジェクトマネジメント協会Project Management Institute (PMI) の認定教育プロバイダーATP (Authorized Training Partner) です。